華やかに飾られた空間は数多く存在する。しかし、積み重ねてきた歳月が作り出す美しさを越えることは難しい。ソウル・鍾路区の昭格洞に、古くからの時の流れをほのかに纏った韓屋が佇んでいる。2名用の小さなこの空間は、ごくわずかなことを意味する「釐毫」と素朴な楽しみを表す「小樂」を加えた「Ihosorak(釐毫小樂)」と名付けられた。

Ihosorakは、1940年に建てられた韓屋を現代的な感覚に合わせて都心の中に佇む休息の空間へと再解釈して作られた。壁面の荒々しさとホワイトトーンの現代的な色味が魅力的で、内部の床はマイクロセメントによって紙の上を歩くような質感を与えている。そして80年の歳月を耐え抜いた木の柱、そして垂木を活用し、静かな韓屋の趣がありのままに伝わってくる。麻布のブラインドからは涼しい風が流れ込み、おしゃれな茶器は情感を高めてくれる。また、丸い窓から射し込む日差しを浴びながら本を読んだり、整えられた庭と向き合いながら自分だけの豊かな時間を過ごすこともできる。6畳規模の小さな庭には、日々の疲れを癒せるよう設けられた露天風呂と美しい白ツツジ、苔石が置かれており、心を落ち着かせる彩りを準備した。

用意された茶器セットでお茶を淹れ、床に座ってぼんやりと空を見上げるだけで特別な時間となる。庭の露天風呂にはラベンダーの香りがする死海の塩が用意されている。湯に体を浸し、清涼な空気を鼻先で感じていると、心身が生まれ変わったように回復していく。周辺の北村を散策しながら、歴史的情緒を存分に感じてみるのもおすすめだ。Ihosorakでの滞在を通して、あなただけの小さく素朴な楽しみを見つけられる一日となることを願っている。

Edited by STAYFOLIO
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