低い韓屋に囲まれた西村(ソチョン)の楼下(ヌハ)洞、静かな路地に沿って歩いて行った先に「누정(Nujung)」という表札をつけた小さな韓屋がある。楼閣の下にある亭子という意味が込められた名前だ。自然のそばで風流と瞑想を楽しむ先祖たちの姿からインスピレーションを受けて作られた空間で、「呼吸」と「瞑想」というキーワードによって構成されている。広い床の上に座って休息を楽しみ、窓から映る多様な風景を眺めながら余裕のあるひとときと向き合ってみてほしい。

Nujungは韓屋村の中の小さな憩いの場として、庭園、縁側、浴槽、寝室で構成されている。この4つの小さな空間は連結されており、自然な呼吸を取り戻す助けとなる。門を開けて入ると、真っ先に向かい合うのは庭園だ。軒の上で風の動きによってそよぐエンジュが控えめに溶け込んでいる。大きな窓から見える縁側と浴槽は、一つの作品のように空間に広がっている。静かに縁側に腰掛けお茶を楽しんだり、お風呂で穏やかな温もりを感じながら安らぎの時間を過ごしてみるのも良いだろう。居心地の良い寝室の横にある窓は低く、木の葉の間から採光がほのかに垂れる。光の動きをじっと見つめながら、現在の私の存在を深く認識してみよう。

絶え間なく繰り返される日常の中で、自分自身と向き合うことは容易ではない。Nujungではじっと立ち止まり、全身で自然を感じることができる。そして自分自身の呼吸を取り戻したい人達を暖かく迎えてくれる。窓の外に揺れる木の葉、開いた扉の隙間から入る風を迎える音、空間を満たす多様な香り、体を満たす空気の質感。Nujungのすべての要素を一つずつじっくり楽しみ、特別でかけがえのない時間を過ごしてほしい。

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Photo by Kihun Park (@arc_factory)